【記事】睡眠中に本人の意思と関係なく性行為をしてしまう睡眠障害「Sexsomnia」

睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)に似たNREM-Parasomniaノンレム睡眠行動障害)の一種に「Sexsomnia(セクソムニア)」というものがあるそうです。

別名「Sleep sex」というその名の通り、ノンレム睡眠中に本人の意思とは関係なく性的行動・性行為を行ってしまうという、場合によっては本人や周囲の人々に重大な結果をもたらす障害なのですが、その存在が医学的に実証されたのが数年前でまだ一般的に知られていないことや、症状を自覚しても医師や周囲の人に相談しにくいということもあって、実際の発生率や患者数などは明らかになっていません。最新の研究で、睡眠障害専門外来で受診する人に限って言えば、7.6%という高い割合でこのセクソムニアが発症していることが判明しました。

詳細は以下から。

Sexsomnia Is Common In Sleep Center Patients

Sleep sex - Wikipedia, the free encyclopedia

睡眠中の性行動は、ほかと区別しうる新しいタイプの睡眠行動障害なのではないかと示唆する研究論文が初めて発表されたのは1996年のこと。その後、睡眠中の性行動は医学的に治療しうる「障害」であると複数の研究により示唆され、2003年にCanadian Journal of Psychiatry誌に発表されたトロント大学の医師らによる論文で、「Sexsomnima」の定義がなされました。

性的暴行などの裁判で被告側が主張することもあるため、セクソムニアの存在自体を疑わしく思ってしまう人も多いかもしれませんが、睡眠中の患者のビデオ撮影、睡眠ポリグラフ検査などにより性行動中に患者は実際に眠っていることが確認され、ほかの睡眠行動障害と区別しうる性質も確認されています。性行為を行った時は起きていたが薬物やアルコールの影響で覚えていない、というケースとは全くの別物なのです。

セクソムニアには抗てんかん薬クロナゼパムなどが有効だとわかっているのですが、睡眠中の行動を自覚していない人、行動を自覚していてもこのような病気があると知らない人、自分の行動をセクソムニアの症状かもしれないと疑っていても恥ずかしくて相談できない人なども多いため、患者の大多数が診断を受けていないと考えられます。

これまでに報告されているセクソムニアの症例の多くは、患者と一緒に寝ているパートナーのすすめで受診したケースや、睡眠中の行動の結果性犯罪で起訴されて初めて明るみに出たケースとのことです。また、睡眠中の激しい自慰行為(レンガの壁に性器をこすりつけるなど)により負傷しセクソムニアに気付く男性や、翌朝残された使用済みコンドームなどにより睡眠中他人と性行為を行ったことに気付いた女性の例も報告されているそうです。

University Health Network(トロント大学の大学病院として機能する病院のネットワーク)精神科Sleep Research LaboratoryのSharon A. Chung博士は「セクソムニアの発生率はこれまで研究されたことがありませんでした」と語っています。

2010年6月5日からテキサス州サンアントニオで開催中のSLEEP 2010で発表されたChung博士らの研究では、ある睡眠専門の医療機関の初診患者832名(受診順に連続832名、うち男性428名・女性404名)を対象に、睡眠障害の症状や睡眠中の行動、起きているときの眠気・疲れ・気分などに関するアンケート調査を行いました。その結果、7.6%(832名中63名)の人々が、睡眠中にパートナーに性行為をせがんだ、あるいは性行為を行ったことがあると報告しました。また、男性では11%、女性では4%と、男性の方がはるかに高い割合で睡眠中に性行為を行った経験があったそうです。

「8%という非常に高い割合の人々がセクソムニアの症状を経験していましたが、これは睡眠障害の疑いがあって睡眠専門の医療機関へ紹介されて来た人々の中でのことなので、一般的な集団の中ではこれよりはるかに少なくなるでしょう」とChung博士。

セクソムニアの症状を報告した患者とほかの患者では不眠・疲れ・抑うつ・カフェイン摂取・喫煙習慣などでは違いは見られませんでしたが、違法な薬物の使用を報告した人の割合はセクソムニアの症状がある人では2倍近く(ほかの睡眠障害患者で7.7%なのに対し15.9%)だったとのこと。

「一般的に患者たちはこの問題を医師に相談しないようです」ともChung博士は語っていました。832名中アンケート調査でセクソムニアの症状を報告したのが63名だったのに対し、医師との問診でこれらの症状を訴えた人はたった4名だったそうです。

ある朝突然、まったく身に覚えのない行動により性犯罪者として糾弾されるというのは悪夢のようですが、実際に裁判となった事件も多数起きています。セクソムニアにより刑事責任が問われなかった事例もありますが、被害者にとっても睡眠中に性的暴行を働いたセクソムニア患者にとってもダメージははかりしれません。

このセクソムニアという病気は、レイプのように深刻な事態に至らなかった場合でも、一緒のベッドに寝るパートナーや同居する友人・家族などとの関係を損ねかねない問題であり、患者本人の睡眠中の外傷やうつ・アルコール依存などの2次的精神疾患の原因ともなりえます。薬物治療・増悪因子の排除・安全な睡眠環境の確保などでほぼ完全にコントロールすることができるとのことなので、自分やパートナーにセクソムニアの疑いがある場合はすみやかに医師に相談してみることが推奨されます。

(情報元:GIGAZINE)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100608_sexsomnia/



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性行為は生物的本能によって行われるものなので、意識下での行為は自発的本能による行動ですが、この症例だと無意識下ですので完全に本能的行動のみで性行為を行ってると考えられます。

疑わしいパートナーには、名作である「シティーハンター」に倣ってす巻きにして縛り上げてから眠るのが一番に安全な睡眠方法かもしれません(ぇー