【日本酒】下戸が考察する「イクラの醤油漬け」で使う日本酒

先日、ご近所の奥さんから、パソコンについてサポートを求められたので
作業用パソコンで、お手伝いをしてきました。1時間ほど。
この奥さんは有資格者なので、仕事でパソコンを使っているのですが、
パソコンの仕組みや理解度は、ほとんど無く
キーボード入力と作業用の専用ソフトだけが使える程度にしかパソコンが使えないため
業務で必要なオンライン申請であるとか、eラーニングなどで業務的に必要な
オンライン講習などをするように案内を受けても、それがどういうものか理解できず
困り果てて、私に助けを求めてくる。
ということが時々あります。

パソコンが使える人から見れば、「ああ、ここはこうすると出来ますよ」
と、なんでもないレベルではあるのですが、年金受給者世代には
解説や説明を噛み砕いて「ここはこうなっているので、この部分でこの操作をすると
こうなりますので、ここにあるボタンを押して操作をすると、必要なこれが出来ます」
ぐらいまで噛み砕かないと理解が及びません。

ご近所でお互い様な間柄こともあって、連絡が来たら
「はいはい、今行くので ちょっと待っててください」
と、駆けつけてはサポートをしているので、奥さんも気兼ねなく連絡して
くるようになりました。

先日も、いつものように解説して帰宅し、いつも通りネットを見ていると
23時過ぎに奥さんがやってきて、
「これ、さっきのお礼に!食べて!」
と、半額シールの貼られた貴重な生筋子を持ってきてくれました。
私は丁重にお礼を言って受け取りました。
ここらへんが下町的で恩義は必ず返してくる土地柄なのかもしれません。

2021年8月下旬頃に、東京都内で初入荷をした生筋子の価格は
100g980円でした。
とても高すぎて買うのもバカらしい上に粒もまだ小さく、
「いやいやいや、こりゃあ買えないわ」
と、スルーしていたのですが、奥さんが買ってきたのは特価品で100g680円の
さらに半額シールを貼られた生筋子。
100g340円というなら、「それなら買ってもいいよね」
と思える価格です。
というか、私が見ても買う価格でした。

さて前置きはこのぐらいで本題に。

近年の生筋子価格は安くても100g580円~698円ぐらいしており、
一番安かった10年ほど前だと100g380円だったこともあり、
「いやあ高いわ、買わない買わない」
と、何年もいくらの醤油漬けを自作出来ないでいました。

当然ですが、いくらの醤油漬けを作るためには、
・日本酒
・みりん
・しょう油
で調味液を自作する必要があります。
料理酒と、本みりんは料理をするので常備しているのですが
料理酒は、いくらの醤油漬けを自作するには不向きです。
また、しょう油もアルコール添加物の無い、特選丸大豆しょう油など
添加物の無いしょう油を使用する必要があります。
※私が作る場合の調味液レシピとしてです。

このため、いくらの醤油漬けを作るには翌日、日本酒としょう油を買う必要性が
ありました。
とりあえず、しょう油はヤマサの特選丸大豆醤油か、
キッコーマンの特選丸大豆醤油しか売り場に選択肢が無かったため
吟味した結果、私がいつも調味液を作るときに選んでいるキッコーマンの
製品を選択しました。
ヤマサさん、すいません。

次に日本酒です。
このタイトルにもある通りですが、実は私はお酒が苦手な上に飲む習慣がまったく無く、
家系的にもアルコール分解が弱いらしく、基本的に飲酒習慣がありません。
せいぜい、料理酒とみりんを煮物で使うような使い方でしかお酒を扱わないため
お酒の吟味が出来ません。
このため、いくらの醤油漬けに使う調味液を作るときは、毎回この問題に
ぶち当たり、何を選ぶといいのかがわからないので、ギャンブルのような状態で
日本酒を買ってくるという、ありえない買い物をすることになります。

今回、日本酒売り場を見たところ、


各酒造メーカーの日本酒と、ライフのプライベートブランドの日本酒がありました。
「まあ、プライベートブランドは無いな」
という思い込みで真っ先に切り捨て、酒造メーカーの小瓶から選択することにしました。
生貯蔵酒は過去に使った経験では、悪くは無いのですが、私の好みでは無いのと
好みの問題なのか、調味液としてはどうもしっくり来ないという経験もあって
選択肢から外しました。
その結果、
・白鶴酒造 特別純米酒 山田錦
・一ノ蔵 特別純米酒 辛口
という2つの日本酒を選択しました。
しかも、「なんとなく」という雑な感じで。

というわけで、早速、生筋子をバラしました。

生筋子は、筋の部分にアニサキスがいることがあるので、70度くらいの
塩を溶かしたお湯に生筋子を入れてバラす必要があります。
このお湯を使わないとアニサキスがいくらに付着することがあるので
重要な工程です。
お湯に生筋子を入れて菜箸でザクザクと突き刺して引き裂くようにしていくと
筋の部分が凝固するのである程度、凝固した筋を取り除きます。
ある程度の筋を取り除いたらザルでお湯を捨て、再び塩をとかしたお湯にくぐらせ
目に付く筋は全部取り除きます。
ちなみに取り除いた筋はジップロックのようなチャック付きの保存バッグに入れて密閉して
廃棄するようにしないと、次のゴミの日までキッチンが激しく生臭くなるので
注意が必要です。
ここまで筋を取り除いたら、またザルでお湯を捨てていくらから筋を取り除いた状態
まで完了します。
次に、お湯ではなく、水に塩を溶いたものにいくらを入れて
割れてしまったいくらのカラが白くなるので、塩水の中でいくらを軽く混ぜながら
割れてしまったカラを浮かせて塩水の上澄みを捨てる、という作業を3~4回やります。
ある程度やると、割れたいくらのカラが少なくなるので、ある程度まで取り除けたら
ザルで水切りをすると、この画像のような「生いくら」の状態になります。
時期的にまだ早いせいか、いくらの粒は小さめで、未熟卵もあるので時期的に
仕方がないなあ、というところはあります。
しかし100g340円の半額品なので、そこは仕方がありません。

調味液は今回、一ノ蔵さんと白鶴山田錦さんの2種類の日本酒を用意したので
調味液も2種類作ります。
あくまでも私のレシピですが分量は
・しょう油100ミリ
・日本酒100ミリ
・本みりん50ミリ
・キッコーマン濃いだし本つゆ50ミリ
の分量で調味液を作りました。
過去には、だしつゆ無しで作ったことがあるのですが、
しょう油の味が強すぎたり、安いしょう油ではそもそも味がだめになる、
という経験則があり、昆布つゆやめんつゆを、しょう油の分量の一部に置き換える方法
で調味液を自分の好みに寄らせていき、さらにみりんの甘さを追加することで
現在の分量比率にたどり着きました。
このあたりは、作る人の好みの味加減を調節出来るので、甘さを控えたい場合は
みりんの分量を加減したり、しょう油とつゆやだしつゆの分量比率を調整すると
いいと思います。
ちなみに北海道では、キッコーマンの「めんみ
を使っている家庭があるようです。

で、実際に作った調味液に生いくらを漬け込んだものがこちらです。

左手が白鶴山田錦を使った調味液のもの
右手が一ノ蔵 特別純米酒辛口を使った調味液のもの
生いくらを入れる前に、調味液のテイスティングを実施した感じでは
山田錦は酒の風味が強く感じ私の苦手とする酒独特の風味でした。
逆に一ノ蔵で作った調味液は「あれ?普通に美味いな?」
という感覚だったので、出来上がりは一ノ蔵を使った調味液に漬けたいくらが
美味しく出来上がるかな?とか思っていました。

いくらの醤油漬けはお酒の染み込みの作用で味をいくらに染み込ませる技術なのか
個人的にはあんまり理解してはいないのですが、おおよそ漬け込んでから24時間ほど
経過するといくらに調味液が染み込み、美味しく出来上がります。
大昔に友人宅で作ったところ、家族の方が待ちきれず「今すぐ食べたい!」
と言い出してしまい「味が染み込んでいないので、今食べても調味液の味がいくらに
付いてないから、美味しくないですよ?」
と説明したのですが、「いや、今食べたい」と言い張ったので、カレースプーンに
2杯程度盛って「では、お試しください」と出したところ、満面の笑みで
食べたのですが、すぐに思っていた味では無かったらしくがっかりした顔に
なったのを思い出しますw

というわけで、完成したいくらのしょうゆ漬けで作ったのがこちらです。

見た目で区別が付かないのですが
どんぶりの左半分が山田錦の調味液に漬け込んだいくら
右半分が一ノ蔵の調味液に漬け込んだいくら
になっています。

当然ですが、盛りつける前に、完成したいくらのしょうゆ漬けをテイスティングで
確認したのですが、調味液の段階では美味しいと思っていた一ノ蔵よりも
苦手と感じたはずの山田錦の調味液に漬けたいくらの方が何故か美味しく感じるという
出来上がりに困惑。
念の為に、水で口の中をすすいでから、再度確認するも結果が変わらず。
結局、なぜ出来上がりで風味が逆転したのかはわからなかったのですが、
酢飯を作ってイクラ丼を作って、食べ比べてもやっぱり味の好み的には
山田錦で作った方が何故か美味しく感じるという不思議な出来上がりになりました。
一ノ蔵さんの名誉のために補足しますが、一ノ蔵さんを使った調味液に漬け込んだ
いくらのしょうゆ漬けも美味しいのですが、食べ比べをすると私の好みでは
山田錦さんで作る調味液に漬け込んだいくらが美味しかったという結果になりました。
ただし、下戸の酒の味がわからない人間の舌感覚なので、普段から日本酒を
飲み慣れていて利き酒がしっかり出来る人だと、違う判断をする可能性があります。
他にも酒の好みで結果が変わる可能性もあります。

生筋子は時期的に9月中旬以降ぐらいになると、粒の大きな熟成したものが
出回るようになるので、スーパーの鮮魚コーナーや、鮮魚専門店などを
チェックしたり、店員さんに入荷時期などを聞いておくといいでしょう。
また、地域によっては美味しい地酒もあるので、地酒を使った調味液で
挑戦するのもいいと思います。

また、漬け込みから24時間が経過したら冷凍対応のジップロックに小分けにして
調味液は少なめに減らしてから密封して冷凍保存すると保存が出来ます。
ある程度の量が作れて冷凍保存しておくと正月にいくらのしょうゆ漬けを楽しむことも
出来たりします。