【記事】1枚で全国の鉄道に乗れる――IC乗車券10種、2013年春の相互利用へ

 東日本旅客鉄道、北海道旅客鉄道、PASMO協議会、名古屋市交通局、名古屋鉄道、東海旅客鉄道、スルッとKANSAI協議会、西日本旅客鉄道、福岡市交通局、西日本鉄道、九州旅客鉄道の11社は12月20日、それぞれが発行しているICカード乗車券の相互利用の検討を開始したと発表した。2013年春の実現を目指す。

エリア内相互利用から全国共通化へ

 東日本旅客鉄道は「Suica」、北海道旅客鉄道は「Kitaca」、PASMO協議会は「PASMO」、東海旅客鉄道は「TOICA」、スルッとKANSAI協議会は「PiTaPa」、西日本旅客鉄道は「ICOCA」、福岡市交通局は「はやかけん」、西日本鉄道は「nimoca」、九州旅客鉄道は「SUGOCA」というIC乗車券をそれぞれ発行している。また、名古屋市交通局と名古屋鉄道は2011年2月11日より「manaca」を発行予定だ(参照リンク)
 これらのIC乗車券はすべて、ソニーの非接触IC技術「FeliCa」を利用した交通乗車券。後払い式のPiTaPaを除く9種類はいずれも前払い(チャージ)式で、Suicaとほぼ同じシステムを採用している。
 1枚のIC乗車券で複数の会社の路線に乗ることができれば、利用客の利便性は向上する。これまではエリア内での相互利用(SuicaとPASMO、ICOCAとPiTaPaなど)や、JRグループ内での相互利用(SuicaとICOCA、SuicaとKiTaCaなど)化が進められてきた。今回の11社相互利用が実現すれば、10枚のうちどれか1枚を持っていれば、出張や旅先でも手持ちのICカードが全国どこでも(四国を除く)利用できることになる。
 なお、今回相互利用を目指すのは交通乗車券としての機能のみ。電子マネー機能を持つICカードも多いが、その相互利用化についてはスケジュールは未定だ。また、モバイルSuicaのように携帯電話で電車に乗れるサービスを今後他社でも採用するかどうかについてもスケジュールは決まっていない。

情報元:+D Mobile ITmedia



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2年後には相互利用が視野に。
という夢のような交通改札システムがいよいよ協議に入った。
だが、都市部はともかく地方交通系にはまだ問題が多い。
特に北海道札幌市は深刻だ。札幌市営交通が発行するSAPICAとJR北海道が発行するkitacaには相互利用がこの段階でもまだ無いのだ。札幌市営交通がこれに参入してくれると良いのだが、現状では両方を利用する、またはSuica/kitacaを持つ人は新たに切符やSAPICAを持たなくてはいけない。

もともと、札幌市営交通はかなり以前から交通改札システムの試験導入には積極的で大通駅などには試験改札機がかなり早い時期から設置されたりするなどしていたりしたのだが、今回の発表には名前を連ねていないので取り残される可能性、または独自路線を歩む可能性が出てきた。

特に札幌市は、都心部Suicaユーザーが新千歳空港から札幌市までのJR区間をSuicaでそのまま移動できるため使い勝手のいい都市でもある。しかしながら札幌市の主な交通機関は札幌市営交通でJR北海道はどちらかと言うと郊外路線を運行する手段として認知されている。
(例:新千歳空港駅-新さっぽろ駅-札幌駅-小樽駅など)
そのため中心部である札幌駅・大通駅・すすきの駅を交差する札幌市営地下鉄の路線は非常に大きい。

話は札幌から首都圏に戻ると、別な問題もある。
現在Suicaは全国のJRグループと相互接続しており一番利用範囲が広い。
しかし、PASMO区間を定期利用している人はPASMO定期券を持つ必要があり、Suica区間はチャージ残高で相互利用は出来るが、Suicaの相互利用区間までは利用できないという難もある。

国内の公共交通機関や、タクシーも含めてこれに乗じる動きになると実は大きなメリットが出てくる。
例えばタクシーでは現金の取り扱いが減るためにタクシー強盗が減少する。
鉄道やバスなどでも現金の取り扱いが無くなるために、大量の紙幣や小銭の準備や移動、警備負担が減少する。(これには、物販店舗を含む)

利用可能なコンビニやスーパーなどが広がるため、現金を持ち歩く必要性や会計の手間も減少する。

もちろん、相互接続や導入コストは少なくないがそれ以上の経済効果が見込めるとなると全国規模のスケールメリットになるため、今後の参入も期待できるかもしれない。

という点では、大変に大きく注目に値するニュースだと思う。
いや、そんなことよりも、PASMOさんは携帯電話モバイルには対応する気がないんですかねえ…(汗