【コラム】ミクシィが「足あと」機能の変更でユーザー10万人が猛反対

国産ソーシャルネットワークサービス「ミクシィ」が2011年6月13日付けで、「足あと機能改修」の実施を行った。
http://mixi.jp/release_info.pl?mode=item&id=1380
この改修のポイントは、
表示名称が「足あと」から「先週の訪問者」に変更
・「自分の足あと」から「自分が訪問した人」に変更
・過去1週間に訪れた人を、ホームの「新着お知らせ」枠で表示
・リアルタイム訪問者の履歴表示の廃止
・総アクセス数の表示廃止
・マイミク・マイミクのマイミク以外の他人は表示されない
と、なっている。
このサービス変更に際し、japan.internet.comの記事でミクシィのインタビュー記事でその理由について語られている。


一点目、従来の過去20件分の足あとを時間順に、リアルタイムに更新する仕組みを廃止し、過去1週間分の訪問者情報を週1回定期的に更新する仕組みとなった。つまり、何度も訪れる友人が足あとに繰り返し名前を残していた状態が、「過去に訪れた友人」のひとりとして表示されることになるのだ。「訪問者」が更新された場合には、mixi のトップページにお知らせが表示されるようになっている。

二点目は、訪問者がどのような経緯で自分のページを訪れているのかが詳しくわかるようになった。具体的には、「友人」「友人の友人」「同僚」「同級生」「コミュニティ」など、mixi ユーザー同士をつなぐ様々な要素のどこに共通点があり、自分のページを訪れているのかが把握できるようになるのだ。従来では、「友人」または「友人の友人」のみわかる仕組みだったが、これによりユーザーの「なぜこの人は自分のページを訪れたのか?」という疑問が解決できるようになる。

そして三点目は、「先週の訪問者」には自分自身と何かしらの関係があるユーザーのみが表示され、自分と無関係なユーザーの情報を残さないようにした。従来の足あと機能では自分の友人以外の足あとが多く残ることで本当の友人の訪問を見逃してしまうことがあったが、今後は「自分のページを訪れてくれた友人・知人や自分に関係のある人」だけを正確に把握することができるようになるのだ。



このような大幅な改善の目的について、開発担当の石橋氏は従来の足あと機能がもつ「伸ばすべき長所」と「解決すべき課題」を挙げた。

まず、従来の足あと機能の長所は「mixi ユーザー同士のつながりが生まれる」ことだという。石橋氏によると、友人・知人が mixi 上で繋がる「マイミク申請」は、1日約10万件が足あとから生まれており、その承認率は80%と高い。つまり、誰かが誰かに足あとを残すことで、それがきっかけとなってリアルな友人・知人が mixi 上で巡り合い、mixi 上でも繋がりが生まれるのだ。

この点を石橋氏は足あと機能の大きな長所であり、また訪問者を「友人の友人」までしか把握できない点や「知らない人の訪問に不安を感じる」という点を課題と考え、それを改善して更に使いやすくする方向で開発を進めたのだという。

一方、従来の足あと機能の課題は「そのクイックすぎるレスポンスだった」と石橋氏は語る。従来の足あとは、一度アクセスすれば時間とともに足あとが必ず残る(あとで削除することも可能)。これは訪問される方にとっては訪問者の把握に役立つが、訪問する方にとっては自分の訪問がその時刻も含めて必ず相手に通知されるということがひとつのプレッシャーになってしまい、気軽に友人のページを訪問できなくなってしまっていたのだ。石橋氏によると、足あとの削除件数は増加傾向にあるそうだ。
石橋氏は、このような課題によってユーザー同士が交流を遠慮してしまう現状を「コミュニケーション機会の喪失につながっている」と考え、新機能のポイントである「週1回、過去1週間の訪問者を知らせる」という形を生み出したのだ。

http://japan.internet.com/busnews/20110607/5.html

2004年の mixi スタート当時、mixi におけるコミュニケーションの中心は「日記」「メッセージ」で、ユーザーが相手のページを訪問することで交流が生まれていた。しかしその後 mixi には様々なコミュニケーションの在り方が生まれ、「足あと」の意義も大きく変化してきたという。

原田氏はそのターニングポイントをいくつか挙げた。ひとつは足あと機能に削除機能が追加されたこと。これを原田氏は「足あと機能最大の変化だった」と振り返る。相手に知られたくない場合に訪問情報を残さないというファンクションが生まれたことで、訪問者を正確に把握するという足あと本来の前提が覆ったからだ。

そして、その後には「mixi アプリ」「mixi ボイス」など、足あとを残さずに友人・知人と交流したり近況を把握することができる手段が発展し、そして友人・知人に簡単にリアクションを返すことができる「イイネ!ボタン」の登場で、ユーザーは相手のページを訪問しなくても友人・知人の近況を把握し、リアルタイムなレスポンスを返すことができるようになった。これら mixi における様々な機能の変化、コミュニケーションスタイルの変化によって、「今、本当に足あとに必要な役割は何かを、見つめなおす時期が来た」と原田氏は説明する。

確かに、現在の mixi のトップページには友人・知人のボイス、チェック、アプリゲームの成績や日記、写真など様々なアップデート=近況が表示され、相手のページを訪問しなくても簡単に友人の近況を把握することができる。相手のページを訪問するのは日記や写真を見るときくらいで、自分の ホームには「イイネ!」や mixi ボイスに対するコメントなど 友人・知人からのレスポンスがあふれており、足あとを確認する必要がない。

このような状況で「足あと」に求めるものは、「誰が私のページを訪問してくれたのか」という"まとめ"と、新たな友人・知人とのつながりを生み出すきっかけであり、今回のリニューアルは現在の mixi の使い方やコミュニケーションから生まれるニーズに合わせた機能の最適化と言うことができるのだ。

最後に、原田氏に今後の mixi が考える機能の方向性について伺った。原田氏は、現在の mixi の状況について「ユーザーが増え続ける中でその使い方や機能の要望は多様化し続けており、すべてのニーズに運営者が100%応えるのは難しい状況になってきた」と、一般的なウェブコンテンツ・ウェブサービスにはない、コミュニケーションプラットフォームとしての難しさを語る。

同社は機能のリニューアルや追加の際には、ユーザーのコメントやサポート窓口への意見などのほか、利用者のログ解析などによる「声なき声」にも耳を傾け、多くのユーザーが満足できる機能を提供しようと努力を続けているという。しかし、mixi はもはやメディアでもサービスでもなく、ユーザー自身が自分の好みやスタイルに応じて活用するコミュニケーションの道具であり、その使い方やニーズは実に千差万別なのだ。

その中で運営者である同社は、機能の複雑さやわかりにくさによってユーザーがその道具を不便に感じないよう、ユーザーの声や時代の変化に合わせて機能の見直しや追加、統廃合を続けていくことで、いかに mixi が「友人といつでも簡単に会話ができる使いやすい道具」としてユーザーに愛されるかを目指していくという。また、同社は機能の外部開放(いわゆるオープン化)も引き続き推進し、同社でカバーしきれない要望や機能については、外部のパートナーと様々な形で連携し、そのニーズに応えていきたいとしている。

原田氏はこの点を強調し、「mixi が目指すのは"Easy"なコミュニケーション。ユーザーにとってのわかりやすさ、使いやすさはもっと改善できる。時間、場所、デバイスを問わず、親しい友人・知人と気軽に簡単に多くのコミュニケーションを生み出せる世界を追求していきたい」と抱負を語った。

http://japan.internet.com/busnews/20110607/6.html


自分の ホームには「イイネ!」や mixi ボイスに対するコメントなど 友人・知人からのレスポンスがあふれており、足あとを確認する必要がない。
私はかつて、これほど乱暴なサービス改悪を見たことがない。
ユーザーには、必ず一定数「ROM」(Lead Only Member)という、見ているだけの消極的ユーザーもいる。
特にライトユーザーやマイミクの少ないユーザーがそうだ。
こういったユーザーは、相手に対するレスポンスという行為そのものをしないので、足あとだけが頼りになる。
一方で、足あとの付いたユーザーからは、「おや、マイミクでもマイミクのマイミクでもない人からのアクセスがある、どんな人だろう?」という確認行為で、その人がどんな人物かを知ることが出来る。
共通のコミュニティだったり、公開日記や、ニュース日記からのアクセス、様々な接点がリアルタイムで発生する。
リアルタイムだからこそ、その優位性があるのであって、一週間単位で先週のまとめをダイジェストに表示させるというのは、サービスの劣化に他ならない。まさにサービスの改悪と言っていい。

もう一つ。足あと機能には総アクセス数をカウントする機能があり、設定した人数に到達すると通知する機能があり、例えば10000人目と設定すると、「10000人目のアクセスはxxxさんでした」という通知があり、これを感謝して日記を書くユーザーは多かったはずだ。
今回は、このカウンターすらも廃止してしまったためユーザー同士のコミュニケーション機会が一つ奪われたことになる。


これに反発したユーザーが、「mixi 足あと機能改悪反対!」のコミュニティを設立。
なんと、3日間で2万人以上が参加する事態に展開します。
さらに、ガジェット通信がこれを記事化し「『mixi』ユーザー悲痛な声 『足あと機能改悪反対!』コミュ参加者が2万人を超える
と、報じ、なんとmixiニュースにも掲載される事態になりました。

この記事から、日記やボイスで、足あと機能改修が広まり、参加者数は6月14日午前1時時点で11万人を超える異常事態になりました。
11万人がサービス改修に猛反発するというのは、mixiの歴史上、間違いなく前代未聞の出来事です。
反対コミュニティの参加の勢いは増え続けており、11万人がmixiにサービス改修にノーを突き付ける結果となりました。


しかし、mixiにはこれだけではなく他にも問題があります。
mixiプレミアム」というサービスがあるのですが、月額315円で追加機能が受けられるというもので
・日記装飾
・日記検索
・メッセージ検索
・mixi動画容量100MBから1GBへの拡大
・日記容量100MBから1GBへの拡大
・コミュニティでのアンケート作成権限
・OpenIDの変更
サービスメニューは随時追加していきます。

という記載はあるものの実際には、送受信メッセージの保存期間がプレミアムサービスから外され無制限に解放されたり、サービスの追加どころか形骸化してしまっており、惰性で有料課金が継続されている状態でもある。

その他にも問題点は多く、詳細はWikipediaにまとめられている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Mixi#.E5.95.8F.E9.A1.8C.E7.82.B9

近年では、ボイスという機能があり日記を書くほどでない短文投稿サービスが追加されたが、完全にTwitterと同類サービスな上に、Twitterと連動して相互で発言しても両方に投稿されるような外部連動サービスを作り出しており、ボイスを利用するのではなく、Twitterに移行したユーザーがmixiアカウント側に連動表示されている状態もある。
またTwitterが140文字の短文投稿に加え、画像投稿や動画投稿を外部と連携して専用クライアントが世界中で開発されていることで、リアルタイムな投稿検索や、ハッシュタグを付した投稿でリアルタイム実況や、特定ジャンルの投稿をまとめることも出来るため、mixiからTwitterへ移行するユーザーも多く、最近ではmixiでの日記が減りTwitterでの投稿になってしまったことで、マイミクの更新状況が減ったという状況もある。

こういった状況下の中で、ネガティブなサービス改修は、更なるユーザー離れを引き起こす要因となり、将来的にはmixiそのものが淘汰されることも考えられるだろうと考えられる。
いずれにせよ、これだけの反対ユーザーが行動を示したことで、mixi運営事務局は放置することは出来ず、放置すれば2008年の利用規約改訂を巡って、4営業日で株価が3割近くも下落してストップ安に達した再来を招くことになり、サービス機能改修を撤回するか、新たに足あと機能の削除件数を増加させるなどの変更を迫られることになりそうだ。

とりあえずは、この猛反対の状況下による混乱の決着をmixi運営事務局がどのように対応するのかを見守りたい。
(それよりも株価下落が心配されるのは筆者だけだろうか?)