【コラム】新型コロナウイルス時代に映画館は生き残れるか

>アニメ『トロールズ ミュージック★パワー』で、全米で4月10日に「プレミアムVODレンタル」(48時間のレンタルで19ドル99セント)が始まった。現地時間の4月28日、ユニバーサルは『トロールズ』が配信後約3週間で1億ドルを売り上げたと発表した。

財経新聞の記事によると、ビデオオンデマンドで1億ドルの売り上げを
叩き出したとのこと。
ビデオオンデマンドでは映画会社の取り分は80%のようなので
8000万ドルということになる。
通常、映画館での上映だと折半になるため、映画会社としての収入が
増えるのは魅力的で、NBCユニバーサルでは、
「映画館が再開後も、新作を劇場公開と同時にデジタル配信する」と語った。
しかし、アメリカの映画館業界はこれに猛反発。
全米最大のシネコンチェーンAMCは、「(新作を劇場公開と同時にデジタル配信する)リリース方針の変更は受け入れがたい。アメリカ、ヨーロッパ、中東にあるAMCの映画館全てでユニバーサル作品を上映しない」と書簡を送ったとのこと。

つまり、どういうことかと言えば、世界中の人々は既にスマホで
いつでもビデオオンデマンドを利用できる状態にあり、
映画製作会社は、その気になればいつでもデジタル配信で映画作品の
配信が出来るようになり、映画館は時代遅れの施設になるということ。

現在の日本で例えるのであれば、4月にようやく5Gサービスがスタートして
4月28日のNTTドコモの決算会見で5G契約者数が約4万人になっている。
ソフトバンク、auも同水準だと考えるのであれば、推定で10万人が
5Gスマホを手にしている計算だ。
まだ5G基地局が限定的とは言え、それ以外でも4Gスマホで
ビデオオンデマンドを利用している人は多い。
dアニメストアやAmazonプライムビデオを見ている人は多いだろう。
そういう下地があるのだから、劇場公開予定の作品が新型コロナウイルス
による緊急事態宣言で映画館休業で上映予定の映画作品がすべて
上映延期になっている状況で、見たかった作品がビデオオンデマンドで
見れるようになります、と言われたら、劇場までのアクセスが
悪い人も含めて上映時間や場所に関係なく配信されることが出来るので
日本でもビデオオンデマンドによる映画配信は成功するだろうし、
すぐに定着するだろう。

もし、これが現実になるならば、松竹系・東宝系の映画館は
即座に経営判断を迫られるだろう。
既存の映画館を撤収して自社配信のオンデマンドストアを立ち上げて
グッズやパンフレットの同時販売が出来るECサイトが必要なので
すぐに対応するかもしれない。
なにせ、人が集まらないコロナウイルスの緊急事態宣言で
映画館はいつ営業再開できるかわからない、こようしている従業員の
休業補償もかかる、ドリンクなどの飲食物販の売り上げは無くなるが
上映時間と定員という縛りが無くなるので、配信サーバーさえ
構築できれば24時間営業にも対応できる。
5Gスマホ時代がスタートしている今だからこそ、映画館はすぐに
経営判断を求められるだろう。
判断が遅れれば外資系のNetflixとAmazonプライムビデオが
上映作品をすべて持っていってしまうだろう。
それぐらい、映画館は存亡の危機である。

逆にシネコンの会社は会社がふっとぶ瀬戸際だ。
ユナイテッドシネマやイオンシネマなどは、上映出来なくなったら
収入が途絶える。
その上、緊急事態宣言が解除されたとしても、ソーシャルディスタンス
やコロナウイルス感染を恐れた人たちが映画館に来なくなることは
容易に想定できる。
体力のあるイオンシネマは当面なんとかなるかもしれないが、
ユナイテッドシネマはローソングループなので、集客に相当な苦戦を
強いられるかもしれない。
復刻上映が予定されていた「機動警察パトレイバー the Movie」の
4DX上映に期待が集まっていただけに痛手だ。

というわけで、映画作品の延期で収益が得られない映画会社の
経営判断に期待。